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扶養に入ったままで起業したい!健康保険の収入基準とは?

会社員の妻として、今まで”扶養”に入っていた方が起業して個人事業主になっても、税金の面と社会保険の面で”扶養”の要件をクリアしている限り、”扶養”に入ったままで個人事業主でいられます。

”扶養”のままで個人事業主になる準備として旦那様が加入している健康保険の規定を確認しましょう。

そもそも扶養に入っている状態、とはどういうことを指すのでしょうか?

キャッシュフロー面から簡単に言うと、自分で税金も社会保険料も支払っていない、状態です。

起業すると何かとお金がかかります・・・ので、現在扶養に入っている方の多くは今のまま、扶養に入ったままで事業をはじめたい、と思っていらっしゃるのではないのでしょうか?

扶養に入ったままで、事業を行うことは可能です!
ただし、税金と社会保険それぞれの扶養の要件に一致し続けることが条件です。

”扶養”の要件で気にするべき税金とは、所得税と住民税です。
”扶養”の要件で気にするべき社会保険とは、健康保険と年金です。

今回は、社会保険のうち健康保険について、扶養でいられるために気をつけるべきポイントをみてみましょう。健康保険で扶養認定がとれれば、原則、年金でも扶養認定がとれると考えて大丈夫です。

健康保険の”扶養”の要件によっては、個人事業主として開業届をだした時点で認定要件から外れてしまうことがあるので、”扶養”のままで個人事業主として起業する準備として、まずは、旦那様がどの健康保険に加入していているのか確認することがとても大事です。

日本国民が加入している健康保険の種類はいくつあるでしょう?

まず、簡単に健康保険制度について。

ご承知の通り、日本は「国民皆保険制度」つまり、国民全員を公的医療保険で保障する制度が整っています。どんなカテゴリーの保険があるのか簡単にわけてみました。基本的には、下記のカテゴリーのどれかに、国民の一人一人が属している、ということになります。

後期高齢者医療制度
国民健康保険

組合管掌健康保険

(健康保険組合)

全国健康保険協会

(協会けんぽ)

共済組合等

そして、今回のテーマである「会社員の妻」の旦那様が加入しているのは、

「健康保険組合」もしくは協会けんぽ」

のいずれかになりますので、こちらの2つを中心に見ていきます。

健康保険組合に加入している人、協会けんぽに加入している人。

健康保険組合や協会けんぽは、国の健康保険事業の運営主体であり、国にかわって独自に健康保険事業を行っています。

どちらの保険に加入するかは、個人が自由に選ぶことは出来ません。
旦那様の勤務先によって、あらかじめ決まっています。

大手企業などに勤務、勤務先の企業が健康保険組合を設立している場合
→その企業の社員はその健康保険組合の被保険者

健康保険組合の被保険者以外の方
→協会けんぽの被保険者

ご自分のご家庭がどの健康保険のタイプかわからない場合は、健康保険証の「保険者名称」欄をみると、記載があるので、確認してみてくださいね。

どの健康保険に加入しているか確認することが、まずは”扶養”のままで起業する、個人事業主になる準備の第一歩です。

扶養の認定基準とは?

ご自身の世帯がどの健康保険に加入しているか確認が出来たら、次は、その健康保険の扶養の認定基準の確認をします。一般的な認定基準は下記の通りです。

  1. 加入できる親族の範囲以内か?→被保険者(旦那様)からみて3親等以内の親族か?
  2. 同一世帯に属しているか?
  3. 生計が維持され、収入は基準内か?

ただ、もともと扶養の認定を受けている妻が起業する、という前提なので上記の認定基準はクリアしているはずです。

では、個人事業主になった場合はどの基準に変更が生じることになるのでしょうか?

それは、3.生計が維持され、収入は基準内か?(収入基準)です。

生計が維持され、収入は基準内か?の意味は?

生計が維持されているかどうかの判断は、同一世帯の場合、下記のどちらかに該当していれば基準を満たしている、とされます。

  1. 奥様の年収が130万円未満であり、旦那様の年収の2分の1未満であること
  2. 旦那様の年収の2分の1以上あっても、旦那様の収入がその世帯の生計維持の中心であると判断されること。

ここで気になるのは、年収が130万円未満であり、のところではないでしょうか。

個人事業主の場合、年収=売上ですね。

・年収が130万円だから、売上高だけで判定されるのか?
・年間の売上高から青色申告で計上した経費を全部引いた後の金額でみるのか?
・青色申告で申告した所得、つまり「売上-経費-青色申告特別控除額」の金額でみるのか?

どの金額を気にするべきなのか迷うと思います。

実は、この収入基準が協会けんぽと健康保険組合では異なるのです。

さらに、健康保険組合でも、健康保険組合ごとに独自のルールがあるのです・・・・

つまり、扶養に入っていながら起業したお知り合いの方と、御自分の収入基準が違う、ということも十分あり得る、ということです。

協会けんぽ → 自営業者の収入額は、当該事業遂行のための必要経費を控除した額。

健康保険組合→ 各健康保険組合が定めた基準による。

        一般的なケースは、収入額から指定の経費を控除した額。

        個人事業主の開業届を提出した事実を持って、認定しないところも。

協会けんぽに加入している会社員の妻が個人事業主として起業する場合

協会けんぽの収入の判断基準は

「収入」ー「当該事業遂行のための必要経費を控除した額」<130万です。

注意すべきポイントが2つあります。


注意すべきポイント一つ目!

「事業遂行のために必要経費」の内容を把握しよう。

事業遂行のために必要経費とは、売上げを得るためにかかった経費のことを指します。
基本的には、青色申告で経費として計上したものはほぼ認められると考えてよいですが、
下記の費用については、認められない、認められる場合は個別判断の可能性が高いです。

・減価償却費
・自宅の一部を事務所として利用していることによる経費計上分(家賃・水道光熱費等)
・借入金の利子等

自分の場合はどういった費用が認められない可能性が高いのか確認する方法としては、ご主人が加入している協会けんぽの支部にまず、電話で問い合わせてみましょう。
お住まいの地域によって、協会けんぽ側では、現在、扶養認定については管轄する年金事務所でおこなっている旨の説明があるかと思います。管轄する年金事務所の連絡先を教えて頂けると思いますので、そこで具体的な質問をすることで、はじめて回答を得ることが出来ます。

注意すべきポイント2つ目!

収入基準の130万というのは、青色申告特別控除(65万or10万)を控除する前の金額が130万未満である、ということです。

健康保険組合に加入している会社員の妻が個人事業主として起業する場合

健康保険組合の収入基準は・・・組合によって異なります!

協会けんぽの基準とほぼ同様の基準の健康保険組合もありますが、一般的には協会けんぽの収入基準よりも厳しいケースが多いようです。

例えば

・事業収入については、売上げから減価償却費を除く経費を除いた金額を持って収入とする。
・事業収入について必要経費をみとめるが、必要経費は収入の5割を限度とする。
・事業収入から控除出来るのは直接的な必要経費のみとする。
(イメージとして、ケーキ屋さんの原材料。作るのに必要な光熱費等。判断が難しいものは資料を提出の上個別判断。)
・事業収入がある場合は、収入の金額をもって判断する。
(つまり、経費の控除一切なし。)
・開業届を提出した事実をもって、扶養の認定はしない。

旦那様が加入している健康保険組合の収入基準がどうなっているかは、各健康保険組合のHPで確認できます。扶養されている人のことを”被扶養者”といいますが、「被扶養者の収入について」の判断基準が記載されているページに、詳しく掲載されていることが多いので、確認してみてくださいね。

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