海外赴任前

海外への転出届。年内の出国と年明けに出国する場合の違いは何か?

年末年始の海外赴任。お住まいの市区町村に転出届を提出して日本を出国という方が多いと思います。
転出届に記載する、「届け出年月日」と「「異動年月日(引越日)」のそれぞれの意味。
ご存じでしょうか?

海外への転出届と住民税

転出届は、現在の住居地から他の住居地へ異動が生じる場合に、転出予定日から約14日以内に現在の住居地の市区町村に提出するもので、転出先が海外であっても同じ手続きとなります。

つまり、転出届を提出する=住民登録の変更=住民票の異動という意味を持ちます。

年末年始の住民票の異動の場合、やはり気になるのが住民税!ではないでしょうか。

住民税は1月1日(賦課期日)に「生活の本拠」が日本にあれば、納税義務が発生します。
「生活の本拠」=「住民登録をしている場所」と考えるのが一般的ですので、住民登録の証明書である住民票が1月1日に日本にあれば、住民税を支払う必要があります。

つまり
転出届に記載する海外への異動年月日が12月31日以前であれば、翌年度の住民税の納税義務はない、
ということになります。

転出届に記載する「届け日」と「異動年月日(引越日)」の違い

届出書はお住まいの市区町村によって、用紙の書式は違いますが、記載する内容はほぼ同じです。
必ず、「届け出年月日」と「異動年月日」を記載する欄があります。

「届け出年月日」は、市役所で転出届を提出した日。
「異動年月日」は、海外への出国日。

「異動年月日」をもって、住民登録がはずされる、つまり住民票の除票が行われます。

「異動年月日は年明けだけど、届け出年月日は年内にしたから、住民税を支払わなくてすむ!」

とは、なりません。異動年月日は年明けで1月1日時点住民登録はあるので、”住民税支払義務あり”となりますのでご注意くださいね!

異動年月日(出国日)を年内と年明けにした場合の違いは?

転出届の異動年月日を年内にした場合と年明けにした場合、何が変わるのか、それぞれ確認しましょう。

異動年月日(出国日)の記載を12月末までの日付にした場合

・1月1日にはすでに出国予定なので、住民税の納税義務はなし。
・出国日を含む年度に行ったふるさと納税について、住民税の税額控除は受けられません。
・児童手当は12月分までの受給。
・市区町村による子供の医療費助成の医療証の使用は異動予定日つまり出国日まで。
(医療証は出国するまでに郵送等で市等に返却する形になります。)

 

異動年月日(出国日)の記載を年明けの日付にした場合

・1月1日時点でまだ住民税の除票手続きは行われていないので、住民税の納税義務者となる。
なお住民税の納税は、出国前に一括して納付(会社経由もしくは個人で)か納税管理人にお願いする形になります。
・届け日を含む年度におこなったふるさと納税について、住民税の税額控除を受けられる。
・児童手当の受給は各月1日時点での住所で判定されるので、1月分の受給あり。
・市区町村による子供の医療費助成の医療証の使用は異動予定日まで。

 

転出届の異動年月日と実際の出国日にズレが生じた場合は?

転出届に記載する異動年月日は引越日なので、本来、異動年月日=出国日となるはずです。
何らかの理由で異動年月日と出国日にズレが生じて、そのズレが1月1日をまたいでしまう場合、
どういうことが生じるでしょうか?

 

・住民票の除票は年内に行われるため、実際の出国が年明けだったとしても、住民税の納税義務者とはならない。つまり、住民税の支払はなし!
・児童手当の受給は12月分まで。
・子供の医療費助成の医療証の使用は住民票の除票=異動予定日まで。
つまり、異動予定日から出国日までは、市等の医療費助成は受けることができない。

住民税の支払がなくなるのであれば!と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、
もし、異動年月日と出国日にズレが生じるようであれば、

異動年月日=出国日

になるよう修正の手続きをしましょう。

日付の故意の誤記は公正証書原本不実記載(刑法157条1項)という罪に問われる可能性があります。
罪に問われると、懲役5年以下、50万円以下の罰金刑が待っています。。。

予定していた出国日が変更になることは多くはないと思いますが、天候や体調不良が原因による、出国日の変更は想定できる事案ではあります。転出届を提出する際にでも、市役所でその場合の手続き方法を直接、確認しておくことをオススメします。

海外生活のよりよいスタートをきるために。

海外赴任が多い方にとって、1月1日という日付に敏感になる方も多いのではないでしょうか。
住民税の支払義務があるか、ないかはもちろん大きなテーマです。

年内の出国と年明けの出国。どちらが良いか!?
ご家族の皆様一緒に出国される場合と、母子のみの出国の場合、お父さんのみ出国の場合と、
どなたの出国なのか、によっても気になるポイントは変わってくると思います。

海外生活のよりよいスタートをきるためにも、すっきりとした気持ちで出国できるよう、気になることがありましたらお気軽にご相談くださいね!

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